「本当に、何も起こらないんですよ、この本。」
いや、結構分厚いですけど…。
こんな方におすすめ
フランツ・カフカが好きな人
本紹介
「タタール人の砂漠」
ブッツァーティ作/脇 功 訳
岩波文庫
この本について
同じことが繰り返される。
唯一の救いが、敵の侵略という状況の中、日々は繰り返される。
彼等がこの生活を続けていられるのは希望か、惰性か、諦めか?もしくは外の生活への恐れか。
なんにせよ、続けることではなく、続くこと。
そこの無感動をよく表しているように感じた。
何も起こらないと知りながら、何か起こることを期待している。
そしてそれは、読者も同じだと気付く。
理想に比べると誤差のような非日常的な出来事も、やはり裏切られる。
でも、期待の裏切り方も優しい。
というより、読者と一緒に登場人物もがっかりしてるので、がっかりの捌け口がない。
そして読者も、灰色と黒のページを捲り続ける。
現実の日常の方が、自分の行動で物事が動く。だからより期待するし、より落胆するのだろうか。
最後に引用
タタール人・・・・・・タタール人・・・・・・そう、もちろん最初は馬鹿げた話に思える、だが、そのうちに信じ込んでしまうんだ、少なくとも大勢の者がそれを信じたのは事実だ
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